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紙すきでつながる物・人・地域のen「大橋えのき園」

enoneブランドの紙製品
enoneブランドの紙製品

昨年11月に開催された「エコまつり・めぐろ2023」に出店していた社会福祉施設「大橋えのき園」(※)のブースで手作りミートソースなどと一緒にかわいらしいポチ袋が販売されていました。声をかけたところ、牛乳パックを「紙すき」した紙で作っており、食品類を作った時に出る野菜くずをすき込んであるとのことでした。野菜くずをすき込むって? 作成現場にお伺いし、作業を見せていただきましました。

 

 

 

 (※)18歳以上の知的障害者の方が日常生活の自立のために必要な

生活動作支援や作業活動支援を行う通所の社会福祉施設

 

 

個性を生かした分業で製品作りから販売まで

 最初に紙すき作業を見学しました。利用者さんにはそれぞれ得意な分野があるそうで完全な分業となっています。作業には幾つかの工程がありますが、粉砕する工程で、人参・玉葱・柚子など野菜くずを入れています。加えた材料の色が生かされ、ほんのり色づくそうです。見学時には玉葱の皮を加えていました。野菜くずを紙すきに活用することで廃棄物削減にもなっているんですね!

 

①表面のコーティングをはがし
①表面のコーティングをはがし
②細かくちぎって玉葱を加え
②細かくちぎって玉葱を加え
③粉砕して枠に流し込みます
③粉砕して枠に流し込みます
④紙にすき上げます
④紙にすき上げます
⑤枠から外して
⑤枠から外して
⑥しっかり水切り
⑥しっかり水切り

 

牛乳パックは、地域の保育園やお店、住区センターで集めたものを活用しています。こちらは回収のため地域を巡る利用者さんがいて、地域の方も牛乳パックを貯めておいてくれるそうです。また、保育園の園児には実際紙にする作業を見てもらい、利用者さんと交流を図りながら、牛乳パックが紙に生まれ変わることを知ってもらったりしています。

 

出来上がった紙には絵が得意な利用者さんが描いた絵を印刷してポチ袋などに加工します。「大橋えのき園」では20年以上前から紙すきを行っているそうですが、平成28年から施設で作るガラス細工や食品などを含めて「enone」(えのん)というブランドで本格的に販売しています。

 

毎週木曜日には販売担当の利用者さんが施設の前で、ミートソースや紙製品を販売します。大きな声でお客さんを呼び込んでいます。それぞれの方の個性を尊重しているのですね。

 

得意作業を分担し、紙すきをする利用者さん
得意作業を分担し、紙すきをする利用者さん
地域の牛乳パックを回収する利用者さん
地域の牛乳パックを回収する利用者さん
「いらっしゃいませ!」と販売する利用者さん
「いらっしゃいませ!」と販売する利用者さん

地域とつながるエコ活動en

 

ここで出会ったのは、牛乳パックをリサイクルして製品を作っているというだけでなく、利用者さんと職員さんのつながり、それを支える地域の皆さんとの連携、製品ブランド「enone」の「en」は円や縁などつながりの意味が、「one」には人それぞれの意味が込められているそうです。

 

紙資源の循環サイクルの「en」、施設の人のつながりの「en」、そしてそれを支える地域の方々との「en」。牛乳パックリサイクルが生み出したつながり合う地域をのぞかせていただき、暖かい気持ちで施設を後にしました。

 


大橋えのき園

目黒区大橋2丁目19番38号

www.megurofukushi.jp/facilities/enoki

 平成9年に開所。現在35名の利用者が通所し、さまざまな活動を行う。enoneブランドは区役所(月に1度程度)や地域のイベントなどで販売している