
ピュブリシス・グループ・ジャパンは、JR目黒駅の駅ビル内に拠点を構える総合広告会社です。
ここで「ゴミライ・プロジェクト」という目黒川周辺のごみ拾いをきっかけに始まったごみ削減の啓発につながる取り組みを行っていると知り、同社をお訪ねしました。
お話をしてくださったのは「ゴミライ・プロジェクト」のプロジェクト・リーダーである三井京子さんと、クリエイティブ・ディレクターの四方祐吉さんです。
目黒川周辺のごみ拾いから生まれた「ゴミライ・プロジェクト」
まずは「ゴミライ・プロジェクト」の成り立ちから伺いました。
「企業としてSDGsの意識を高めていかなければならない、という問題意識は以前からありました。それが、具体的な動きになったのがコロナの頃ですね。外に出ることもできない時期に、社員の意識を高めていくにはどうすればいいかと話し合っていくうちに、ごみ問題に取り組んでみようということになりました。そして、地域貢献という意味合いもあって、目黒川周辺のごみ拾いをしようということになったのです」
社員向けのボランティア活動として始まった目黒川周辺のごみ拾いは、今年の4月11日にも実施し、社員50人程が参加したそうです。



アート作品からごみ問題を伝える「ゴミ弁当」
ここで、三井さんたちは、ただごみを拾って終わりではなく、広告代理店だからこそできることは何かと考えました。
「広告代理店として、この活動を踏まえたアイデアや作品を通じてごみを減らす意識を高めることができるのではと考えたのです。そしてクリエイティブ担当と話をしていく中で、ごみの未来を考える「ゴミライ・プロジェクト」のアイデアが生まれました」
社員のごみ拾い活動は、外に向けての活動「ゴミライ・プロジェクト」に進化しました。
「目黒川で拾ったごみを使って啓発ビジュアルをつくるという広告企画から、「ゴミ弁当」が生まれました。WWFとオーストラリアの大学の研究で、人は1年で約250gのマイクロプラスチックなどのごみを摂取していると言われています。250g=小さなお弁当ほどの重さ、という事実を視覚化するため、実際のごみで弁当風のビジュアルを制作し、展開しました」
昨年の夏には、ゴミ弁当を一般公募し、ゴミ弁当コンテストを開催。
取材時、ピュブリシス・グループ・ジャパンの受付には、ゴミ弁当コンテストの優秀作品が展示されていました。
どれも完成度の高い作品ばかりです。
「50ほどの応募があったのですが、単に作るだけではなく、ごみだった素材の説明と作品に託した思いを付け加えてもらうことで、工作の域を超えた作品が集まったと思います。入選作品はエコプロ2024に出展しただけでなく、中央区や八王子の環境関連施設で巡回展示も行いました」



「ゴミライ・プロジェクト」はこれだけではありません。
「現在は、陸上の身の回りのごみということで取り組んでいますが、たまたまダイビングライセンスを発行する世界的な団体の人と話し合う機会があり、海に捨てられたごみが深刻な環境被害を引き起こしているという現状を知りました。ダイバーの方々も海洋ごみの回収活動をしているので、連携して海のごみにも目を向けなければと思っています。今後も社会に貢献できるような面白いアイディアを考えています」
「ゴミライ・プロジェクト」という広告代理店ならではのクリエイティブな取り組みは、他とは一味違った形で多くの人の関心をごみ問題に向けることができる大きな可能性を秘めているのではないかと感じました。
