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使い終えた油をジェット燃料に!「カクヤス」が廃食油回収スタート

廃食油は捨てないで!

 使い終えた天ぷら油(廃食油)は、油凝固剤で固めたり、新聞などに染み込ませたりして捨てていませんか? 実はこの廃食油、捨てずに再利用すれば飛行機の燃料「持続可能な航空燃料(SAF)※」に生まれ変わります。SAFは、廃食油やバイオマスなどの非化石原料を原料とするため、燃焼時に排出されるCO₂の量が少なく、航空業界の脱炭素化に大きく貢献します。資源の限られた日本において、持続可能なエネルギーとして注目されています。

 

※SAF (Sustainable Aviation Fuel・サステナブルアビエーション・フューエル)略称

 

空きびん回収時に廃食油も回収

目黒区内でもよく見かけるカクヤスの配達車両
目黒区内でもよく見かけるカクヤスの配達車両

飲食店や家庭に酒類や食品を配送する「なんでも酒やカクヤス」は、目黒区では5拠点を構え、近隣の世田谷区、渋谷区、品川区などでも多数の店舗を展開しています。街中で見かけるピンクのラインの配送車(軽ワゴン車やバイク、リヤカーなど)はカクヤスの車両で、私たちの身近にある酒屋さんです。

 

カクヤスでは昨年4月から、商品配達時に廃食油を回収するサービスを開始しました。始めた経緯について、カクヤスを子会社に持つ「株式会社ひとまいる」グループ経営戦略部サステナビリティ推進課の五十川里子さんと伊藤梨乃さんにお話を伺いました。

 

五十川里子さん(左)と伊藤梨乃さん(右)。2025年7月、「株式会社カクヤスグループ」は「株式会社ひとまいる」に社名変更しました
五十川里子さん(左)と伊藤梨乃さん(右)。2025年7月、「株式会社カクヤスグループ」は「株式会社ひとまいる」に社名変更しました

 

「当社は以前から、商品をお届けする際にリターナブル瓶(空き瓶)を回収するなど、2WAY型(双方向)サービスを展開しています。企業としてサステナブルな取り組みを進める中で、廃食油も回収できるのではないかと考えました」

 

そしてカクヤスは、国内でSAFを精製する株式会社レボインターナショナルとタッグを組み、廃食油を再資源化する仕組みを構築しました。

これまで回収した廃食油はおよそ268t(2025年7月現在)。この量は当初の予想を上回り、飲食店からの廃食油が8割を占めています。

 

「飲食店は、廃食油を産業廃棄物として産廃業者に回収を依頼されている方も多いのですが、回収日が決まっていたり、処分費用を支払っていたりするケースもあります。ですが私どもでは、お酒の配達時に廃食油を回収します。廃食油は一斗缶110円(税込)、ペットボトル(500ml以上)一律3円(税込)で買い取ります。使い勝手がよいと好評で、最近は月に100軒程度ずつ、廃食油の回収依頼が増えています」

 

各家庭から廃食油を回収
各家庭から廃食油を回収
カクヤスの物流、配送センターに集約
カクヤスの物流、配送センターに集約

家庭からの廃食油の回収も強化

 国内で発生する廃食油は事業系では年間40万t、家庭系では年間10万tに上ると推定(※1)されています。

カクヤスでは家庭からの廃食油も、配達時や店舗で回収(※2)しています。電話注文時に回収を依頼するか、店舗で商品を購入する際に持ち込めば、廃食油を買い取った金額が購入代金から差し引かれます。対象商品はお酒に限らず、調味料などの食品も含まれます。

 

 地球にも家計にも優しい取り組みが各家庭に浸透していけば、資源を有効活用し、地球温暖化の原因となるCO₂の排出も減らすことができます。私たちの小さな行動が未来の環境を守る大きな力になります。

 

 (※1)全国油脂事業協同組合連合会作成 UCオイル(廃食油)のリサイクルの流れ図(令和3年度版) 

(※2)カクヤスの廃食油回収の詳細はこちら