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使い終えた陶器に新たな命を吹き込む「再生陶器」

再生陶器をご存じですか?

破損した陶器を原料にし、新たな作品として生まれ変わらせた陶器のことです。

 かつては、割れてしまった陶器は、捨ててしまうか金継ぎをするかという二択しかありませんでした。

陶器はもともと土ですが、土に還るのは気が遠くなるほどの時間がかかるそうです。しかし今、陶器を資源として再生させる持続可能な取り組みが行なわれはじめています。

 その「再生陶器」はいったいどんなものなのか、自由が丘のライフスタイルショップ「タイムレスコンフォート」に「再生陶器」があると聞いて行ってみました。

TIMELESS COMFORT(タイムレスコンフォート)自由が丘店
TIMELESS COMFORT(タイムレスコンフォート)自由が丘店

タイムレスコンフォートは、店名の通り「時代を超えた心地よさ」を大切に、長く愛せる生活雑貨や家具などを扱うお店です。洗練されたデザインのものや、美しいディスプレイに思わず心が弾みます。

再生陶器について、広報の高橋さんにお話を伺いました。

「こちらの再生陶器は、破損した家庭用食器などを粉砕し微粉末にして既存の粘土に混ぜて成型し焼き上げたものです。信楽焼の窯元の『菱三陶園』の作品です。陶器を再生させるのはとても難しいことでしたが、職人さんたちの努力で、現在はいろいろな産地で再生陶器が作られはじめられています。高温で焼成しているため、割れにくく、電子レンジや食洗器にも使えるというのも特徴です」

ストア部 商品 販促 広報  高橋 麻子さん
ストア部 商品 販促 広報  高橋 麻子さん

菱三陶器の「再生陶器」。洗練されたデザインと独特の質感でどんなお料理も映えそう
菱三陶器の「再生陶器」。洗練されたデザインと独特の質感でどんなお料理も映えそう

再生陶器という言葉自体、私は今回の取材で初めて知りましたが、お客様の反応はどうでしょうか?

 

「実際、再生陶器という言葉を始めて聞くお客様は、リサイクル品なのかしらと思われたりします。広く知ってもらうのはこれからだと思いますが、社会全体で環境意識も高まってきていますので、お店ではお客様にとても喜ばれています」

 


なぜ菱三陶園の再生陶器をお店で扱うことになったのでしょうか?

「『菱三陶園』さんとは、日本の伝統的なものづくりに注目した自社ブランドを今までも一緒に制作してきました。その職人さんが再生陶器を作られたということで、当店でも扱うようになりました。

伝統を大切にしつつ、新しい挑戦を楽しむ姿勢が『菱三陶園』さんの魅力です。世界の一流レストランからもオーダーがくるほど人気の職人さんです。」

 菱三陶園さんは、能登半島地震でボランティアをされたときに倒壊した家屋の割れた瓦を目にし、何とかしたいという思いから陶器に再生させ、被災地の復興の一助にするというプロジェクトをしています。また、コーヒーかすをアップサイクルしたいという喫茶店の方の依頼を受けて、釉薬にコーヒーかすを混ぜた陶器を作られたことがあるそうです。


それぞれのモノにまつわるストーリーを伺っていると、作り手との距離がぐっと近くなります。

お店を見渡すと、アップサイクルの家具や環境に配慮した素材で丁寧に作られたものがたくさんあり、それぞれのストーリーもPOPHPで分かるようになっています。

 


 今回の取材で、生産者やお店の方が、持続可能な社会への一人一人の責任として取り組まれていることが伝わって身の引き締まる思いでした。

 私たちが何を選ぶかは、環境への配慮や未来への責任としてとても大切なことです。みなさんもぜひ「再生陶器」の可能性に注目して、新たな選択肢に加えてみませんか?


〒 152-0035
東京都目黒区自由が丘2-9-11
TEL 03-5701-5271
営業時間 11:00~19:00
定休日 毎週水曜日